痛みを減らすインプラント治療
Ⅰ痛みを感じにくい治療のために
■局所麻酔■
①表面麻酔をします
局所麻酔の針を刺す時は少しチクッとします。そのチクッを少しでも和らげるため、事前にその粘膜にゼリー状の麻酔薬を塗布し、感覚を鈍化させます。
②痛みを感じにくい場所に麻酔注射をする
お口のなかは麻酔の痛みを感じやすい場所とそうでない場所があります。
最初の麻酔針の刺入点は痛みの出にくい場所を選びそこから効果を広げることにより、より痛みの少ない麻酔を行うことができます。
③麻酔薬の注入
温度差の違いによる注入時の痛みを和らげるため、麻酔液を体温に近い状態まで温めます。
麻酔の液を一気に入れると高圧により、歯肉の中の組織が敏感にそれを痛みとして感じるので、
ゆっくりとかつ一定の速度で麻酔液を入れていきます。
■全身麻酔■
究極の減痛麻酔歯科治療法ともいえるのが静脈内鎮静法を使用した治療です。
麻酔専門医が全身状態を管理の上、健忘効果（うたたね状態で治療されたことも忘れてしまう）を期待する麻酔方法です。
点滴により、麻酔薬、鎮痛薬などを用い、意識はありますが不安や痛みなどの記憶がほとんどないような状態にコンロールして治療を行う方法です。気分が落ち着いた状態での治療のため、血圧や心拍数も比較的安定しやすいです。のどの奥を触られると吐き気が強い方にも、この嘔吐反射を抑えやすく、比較的リラックス状態で手術を受けることができます。麻酔専門医によって心電図、血圧、心拍数、血中酸素濃度などの全身状態をモニタリングし手術を行うため、安全性も高い方法です。
専門医を招くため、別途実費がかかりますがインプラント治療をはじめ、抜歯、通常の歯科治療にも使用可能です。
Ⅱ切らない手術？フラップレス減痛治療
「インプラントは興味あるけど、切開手術は怖い…」とインプラントを躊躇する方もおられるでしょう。
インプラントは通常、メスで歯肉を切って歯肉を剥離させ、そこにインプラントを埋め込む手術が一般的です。しかし、患者の不安やカラダの負担を軽減するための「メスで歯肉を切らない手術」という方法があるのをご存じですか？
メスで切らないインプラント治療を「フラップレス手術」と言います。もちろん、インプラントを埋め込むための直径（約4ｍｍ）分は歯肉に穴を開けます。フラップレスとは「無切開、無剥離」という意味。手術前のCT撮影とコンピュータシュミレーションによって、正しい位置に正確にインプラントを埋め込むための手術用ガイドトレー(マウスピースのようなもの)をあらかじめ作成し、歯肉をメスで切ることなくインプラント手術を行います。
体につける傷が少なく、手術中や術後の腫れや痛み、出血がほとんどないことから「フラップレス減痛治療」と呼ばれています。手術時間も短縮でき、通院回数も少ないなどメリットが数多くあります。
ただし、インプラントを埋めこむ場所のまわりに歯肉が十分ついていることや、重い全身疾患がないことなどの条件が必須のため、インプラントのフラップレス手術は誰でも受けられるわけではありません。また、インプラントのフラップレス減痛治療は、十分な経験と実績を積んだ歯科医がおり、CTやコンピューターシミュレーションなどが行える環境が整った歯科医院でしか行えません。
Ⅲ手術後の減痛について
局所麻酔も全身麻酔も覚めてしまえば、手術の場所が痛むことは当然起こりえます。ですので、少しでも、麻酔覚醒後の痛みを減らす工夫をしております。鎮痛剤は服用してすぐ効果は出ないので鎮痛剤を前もって内服してもらいます。
痛みを含めた炎症抑制のため、抗生剤や必要があればステロイド剤も麻酔覚醒前に効果が出るよう配慮して投薬を行います。
